Exposure |
キング・クリムゾンのロバート・フリップのソロ。
後期のキング・クリムゾンはなかなかのもので、
その延長線上を期待して聞くと、とりとめのないアルバムに感じる。
ゲスト・ミュージシャンが多く、とくにヴォーカルが曲によって変わり、
短い曲が多いことがその理由かも。
クリムゾンの延長のような曲も、どこか二番煎じに感じ、
私にとってクリムゾンが良かったのは、
ドラムのビル・ブラフォードが好きだったからだと感じた。
しかし、この歳になって改めて聞くと、
ロバート・フリップはMusic Loverなんだって感じる。
演奏家としてはクリムゾンでも、
リスナーとしては、かなり様々な音楽を好んで聞いているのだろう。
その流れで作られたアルバム。
それはやはりソロとして自分自身でやってみたかったことなんだろう。
このアルバムで一番なのは、ピーター・ガブリエルが歌う、
「Here Comes The Flood」。
ピーターのソロアルバムの同曲に比べ、
ピアノを中心としたシンプルな楽器構成にもかかわらず、
数倍も美しい曲に仕上がっている。
これはロバートのセンスだな。
もう一つ。
ロバートの特徴のあるギター。
例の、ピロピロピロ~て。
ENOと組んだノー・プッシフッティングから延々と続くもの。
あのサウンドに、昔はこれを実験音楽だって感じていたが、
今は、そうではなくて
ロバートはギターで空間に絵を描いていると感じる。
真っ白なキャンバスに替わるのは、透明な空間。
そこにギターというブラシを使って、音という色と造形を描く。
そして素晴らしいのは、
絵があくまでも二次元の一瞬の断面なのに、
音楽は、立体に時間という座標を加えて変化する四次元であると。
ENOが唱えた環境音楽って捉え方に近いかな。