THE PIPER AT THE GATES OF DAWN / PINK FLOYD |
確か、邦題は「夜明けの口笛吹き」だった。
ピンク・フロイドのデビュー盤であるが、
シド・バレット在籍時のものであり、その後に大御所となるグループの音楽とは少し異なる。
ほとんどの曲をシドが書き、後の音楽の萌芽がみられるものの、
彼の個性が支配的である。
彼の詩は美しく、旋律はとてもメロディアス。
この才能は、他のメンバーにはない。
後のフロイドが世相を皮肉ったりってのはただの性格であるが、
シドが描く童話や愛の世界は才能が為すところ。
彼が精神分裂に陥ったことで、
彼の才能を「あちらの世界」の賜物のように考える人がいるが、
私はそうではないと思う。
感受性が高く、それを表現できる才能が、
おそらくは遺伝的な原因もあって、外圧に耐えられなくなったのだと思う。
「狂気の世界」ではなく「狂ってしまったダイアモンド」だと思う。